特別講演会のお知らせ【2019.8.22 斎藤 有紀 博士】(2019.08.10更新)
演題 | Cell-specific RNA regulation in the brain and cancers |
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演者 | Yuhki Saito, Ph.D. (斎藤有紀 博士) Research Associate |
所属 | Robert Darnell Lab, The Rockefeller University |
日時 | 2019年8月22日(木)17:00〜18:30 |
場所 | 北海道大学薬学部1階 臨床薬学講義室 |
主催 | 北海道大学大学院薬学研究院 |
共催 | 日本生化学会北海道支部 |
概要 |
我々の体や臓器は多種多様な細胞により構成されている.それぞれの細胞はほぼ同一の遺伝情報(DNA配列)を有するが,同一のDNA配列情報を基に産生されるRNA(messenger RNA (mRNA), microRNA, long non-coding RNA)やタンパク質の量や配列はそれぞれの細胞(種)に特有であり,RNAやタンパク質,細胞の多様性の維持が1細胞の集合体である臓器や個体の機能維持に必須である. RNAやタンパク質の多様性はDNA修飾やヒストン修飾,ゲノムインプリンティング等のエピジェネティック制御やmRNAの修飾,選択的スプライシング制御,代替ポリアデニル化等の転写後制御,タンパク質の翻訳後修飾により生み出される.
大規模シークエンスやSingle cell RNA sequencing技術の発達により,正常組織や疾患組織内の各細胞が発現するRNAを比較的容易に検出し比較することが可能となったが,in vivoにおける選択的スプライシング制御や代替ポリアデニル化等の転写後制御機構をsingle cell又はcell-typeレベルで解析し議論することはこれまで困難であった.Darnell Lab. によるCLIP法(Science, 2003, 302:1212-5, Nature, 2008, 456:464-9, Nature, 2009, 460:479-86)の開発により,RNAの転写後制御を担うRNA結合タンパク質とRNAの相互作用部位を1塩基レベルかつtranscriptome-wideに同定可能となったが,組織内の特定の細胞群におけるタンパク質-RNA相互作用解析をin vivoで行うことは困難であった.我々は,任意の細胞におけるタンパク質-RNA相互作用解析をin vivoで可能とするcTag-CLIPマウスモデルを作製し,in vivoにおけるcell-type別のタンパク質-RNA相互作用解析を達成してきた(Neuron, 2017 95:1334-1349, Neuron, 2019 101:707-720). 本講演では,CLIP法やcTag-CLIPマウスモデルを中心としたタンパク質-RNA相互作用解析手法やRNA結合タンパク質の正常マウス脳内における細胞種別機能,ヒト脳腫瘍組織を構成する細胞やRNA制御機構のheterogeneityの可能性について議論したい. |
連絡先 |
北海道大学大学院薬学研究院 神経科学研究室 |
関連資料
講演ポスター【2019.8.22 斎藤有紀 博士】(81KB)